AIエージェントの実際のコスト:DeepSeek vs 大手API

公開日
2026年7月11日
更新日
2026年7月11日
著者
Jacob Lloyd — プロジェクト完了後、AIの支援を受けて執筆
読了時間
約5分で読めます

かんたんに言うと: AIアシスタントを24時間動かし続けると実際いくらかかるのか、という話です。格安AIサービスなら1か月の重い利用で約24ドル。同じ作業量を大手のフラッグシップに任せると概算475〜915ドルになります。安さの秘密はキャッシュ——送信テキストの大半は繰り返しで、繰り返し部分は大幅割引で課金されるためです。

わが家のエージェント群——DeepSeek APIで24時間稼働する8体の名前付きエージェント——が初のフル稼働月を終えました。利用明細をエクスポートして計算:実際いくらかかったのか、そして同一のワークロードを大手APIに投げたらいくらになるのか?

要点

  • 2026年6月(1か月):合計$24.08(flash $9.54+pro $14.54)。7月1〜11日はここまで$2.23。
  • 処理量:約13.6千リクエストで約7.57億トークン(6月+7月上旬の合計)。
  • 驚きの数字:入力トークンの約87%がキャッシュヒット。常時稼働エージェントを成立させているのは、単価ではなくこの比率。
  • 同じ作業を他社でやると(概算):フラッグシップで約$475〜$915、廉価ティアで$33〜$230。

実測値

6月+7月上旬の合計:キャッシュヒット入力 6.598億、キャッシュミス入力 9,310万、出力 440万トークン——合わせて約7.57億トークン。下の比較に使う6月分だけを見ると、ヒット約5.608億/ミス約8,620万/出力約380万トークンで、請求額は$24.08でした。

87%というヒット率は幸運ではなく、エージェント通信の自然な形です。毎ターン、同じシステムプロンプト・ツール定義・会話履歴を再送信し、その繰り返し部分(プレフィックス)を各社は通常入力の数十分の一の単価で課金します。DeepSeekのキャッシュ単価は100万トークンあたり$0.0028〜$0.003625。キャッシュがなければ、同じ入力量で約35倍の請求になっていました。

同じワークロードを他社に投げると

同条件の見積もり:6月のトークン構成を、各社の現行公表価格(2026-07-11に確認——DeepSeek、Anthropic、OpenAI、xAI)で計算。キャッシュヒットは各社のキャッシュ入力単価、ミスは通常入力単価で課金(Anthropicはミス時に1.25倍のキャッシュ書き込み料が乗るため、それも込み)。

プロバイダ / モデルキャッシュ入力 $/M入力 $/M出力 $/M6月ワークロード
DeepSeek v4 flash+pro(実測)$0.0028〜0.0036$0.14〜0.44$0.28〜0.87$24.08
OpenAI GPT-5.4 nano$0.02$0.20$1.25約$33
Anthropic Claude Haiku 4.5$0.10$1.00(+書込料)$5.00約$185
xAI Grok 4.3$0.20$1.25$2.50約$230
xAI Grok 4.5(フラッグシップ)$0.50$2.00$6.00約$475
OpenAI GPT-5.6 Sol(フラッグシップ)$0.50$5.00$30.00約$825
Anthropic Claude Opus 4.8(フラッグシップ)$0.50$5.00(+書込料)$25.00約$915

前提:金額は約$5単位に丸め。6月分のみ(ヒット5.608億/ミス8,620万/出力380万)。各社で同じキャッシュヒット率が出る想定(トラフィックの形が同一なので現実的)。バッチ割引や時間帯割引は考慮外。

正直に言うと:品質は違う

これは「DeepSeekが4%の価格でClaudeと同等」という話ではありません。フロンティアモデル——Claude Opus、GPT-5.6、Grok 4.5——は複雑で長時間のエージェント作業で明らかに強い。しかし、日常的なエージェントのやり取り、メッセージ振り分け、下書き、定期ジョブ、つなぎの自動化にフロンティアの知能は不要で、常時稼働スタックの仕事の約95%はそういう作業です。安いトークンで雑務を、フロンティアの頭脳で難題を——エージェント基盤が壊れてClaude Codeが直した回と同じ分業を、まさにこの構成が活かしています。

フロンティア側の利用はClaude CodeのMaxサブスクリプション(月額定額)経由なので、重いコーディングやデバッグはトークン課金に一切触れません。DeepSeekへの支払いは24時間稼働エージェントの分だけです。

もう一つの請求:Claude Code(Max)

参考までにフロンティア側も、この端末のローカルセッション履歴から実測:2026年6月:稼働13日で412セッション。7月1〜11日:稼働8日で297セッション——6週間で約709セッション、トランスクリプト約314MB。単発チャットではなく、ツールを多用する長時間のエージェント型コーディングです。

これらはすべてClaude Maxサブスクリプション(月額$200)の定額でカバーされています。サブスク利用は従量計測されないため正確なAPI換算額は出せませんが、Opusクラスの長時間エージェントセッションを数百回、定価(入力$5/出力$25 per 100万トークン)で回せば、月4桁ドルに達してもおかしくない規模です。スタック全体の正直な合計は:

  • 月約$200(定額)——Maxサブスク、フロンティアのコーディング/デバッグ全部
  • 月約$25(従量)——DeepSeek、24時間稼働エージェント

注意点

  • キャッシュヒット率を守ること。システムプロンプト冒頭付近にタイムスタンプやランダムIDがあると、毎リクエストでキャッシュが無効化されます。この比率だと請求が10〜30倍に膨らみます。
  • 出力トークンはほぼ誤差。入力7.53億に対し出力440万。エージェントは書くより読む方が圧倒的に多い。
  • 価格改定は速い。Grok 4.5はこの記事の3日前に登場したばかり。何かを計画する前に各社の料金ページを再確認してください。

← AIとローカルLLMをもっと見る